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函館地方裁判所 昭和56年(わ)43号 判決 1981年8月21日

本店所在地

北海道茅部郡砂原町字彦潤二一〇番地

株式会社カネキチ

澤田水産

右代表者代表取締役

澤田博昭

本籍並びに住居

右同所

会社役員

澤田博昭

昭和一九年一〇月一九日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官伊豆亮衛出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社カネキチ澤田水産を罰金六〇〇万円に、被告人澤田博昭を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人澤田博昭に対し、この裁判の確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社カネキチ澤田水産は、北海道茅部郡砂原町字彦潤二一〇番地に本店を置き、海水産物の加工及び販売業等を営む資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人澤田博昭は、同会社の代表取締役として業務全般を統轄しているものであるが、被告人澤田博昭において、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外したり架空仕入をするなどの不正な方法によりその所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五二年一一月八日から同五三年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二、四四〇万〇、三四〇円で、これに対する法人税額が九三四万円であるにもかかわらず、同五三年六月二七日北海道山越郡八雲町出雲町六〇番地所在の八雲税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四九万七、一八六円であり、これに対する法人税額が一三万九、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額九二〇万〇、九〇〇円の法人税を免れ

第二  昭和五三年五月一日から同五四年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、九八二万四、〇〇〇円で、これに対する法人税額が一、九〇八万九、六〇〇円であるにもかかわらず、同五四年六月二九日前記八雲税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四六三万三、六三六円であり、これに対する法人税額が一二九万七、二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額一、七七九万二、四〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

(以下、この項において、被告人会社代表者兼被告人澤田博昭を「被告人」という。)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和五五年三月二四日付、同年五月二日付、同年六月二七日付、同年八月七日付、同年一〇月一六日付、同年一一月八日付の各質問てん末書

一  被告人作成の上申書

一  澤田妙子、澤田駒吉、塚本明、秋元淳三郎の検察官に対する各供述調書

一  金沢正信、小野鉄也、澤田妙子(昭和五四年九月一五日付)、澤田駒吉、澤田ヱシ(昭和五五年八月八日付)塚本明(同年五月二七日付)、秋元淳三郎(二通)、村上キミの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和五五年三月二四日付検査てん末書

一  大蔵事務官石川喜代春(二通)、同人外三名、同藤田誠外一名、同外館健一外一名(昭和五五年六月三日付)同山本二郎外一名(同年一一月一〇日付)、同志釜弘章(同年八月一一日付、同年一〇月一七日付の「売上除外額の確定について」及び同日付の「かにの差益率について」を調査事項とするもの、同月一八日付二通、同月二七日付の「買掛金及び仕入金額の確定について」を調査事項とするもの)作成の各調査事績報告書

一  宮本勝博、山北隆吉作成の「証明書」と題する各書面

一  商業登記簿謄本

一  八雲税務署長作成の「税の納付状況照会に対する回答」と題する書面

一  押収してある法人税決議書一綴(昭和五六年押第一二号の一)

判示第一の事実につき

一  塚本明の大蔵事務官に対する昭和五五年六月一六日付質問てん末書

一  大蔵事務官志釜弘章の昭和五五年一一月八日付、同月一〇日付(「個人(澤田駒吉)分売上の公表計上額の確定について」を調査事項とするもの)の各調査事績報告書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(自昭和五二年一一月八日至同五三年四月三〇日のもの)

判示第二の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する昭和五五年三月一八日付、同年六月一一日付の各質問てん末書

一  澤田ヱシの検察官に対する供述調書

一  澤田正春、澤田吉寛、三小吉邦の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和五五年六月二一日付検査てん末書

一  大蔵事務官藤田誠外二名、同石川喜代春外一名(三通)、同外館健一外一名(昭和五五年三月一〇日付)、同山本二郎外一名(同年九月二四日付、同年一〇月二四日付)、同志釜弘章(同年一〇月一六日付、同月一七日付の「定期積金の確定について」を調査事項とするもの、同月二七日付の「車輌運搬具残高について」及び同日付の「仮受金及び支払利息の確定について」を調査事項とするもの、同年一一月四日付、同月一〇日付の「借地権及び運賃の確定について」を調査事項とするもの、同月一三日付)作成の各調査事績報告書

一  米坂年夫、伊藤信久、中森恵一作成の「証明書」と題する各書面

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(自昭和五三年五年一日至同五四年四月三〇日のもの)

(法令の適用)

一  被告人株式会社カネキチ澤田水産

判示各所為につき いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項

併合罪加重につき 刑法四五条前段、四八条二項

訴訟費用につき 刑事訴訟法一八一条一項本文

二  被告人澤田博昭

判示各所為につき いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択につき 各罪につき、懲役刑選択

併合罪加重につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

執行猶予につき 刑法二五条一項

訴訟費用につき 刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおりと判決する。

(裁判長裁判官 谷口敬一 裁判官 杉山正己 裁判官 笠井勝彦)

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